ライトノベル 我が家のお稲荷さま。 レビュー

タイトル 我が家のお稲荷さま。
著者 柴村仁
イラスト 放電映像
出版 電撃
発売日 2004年2月


執筆者:jade 評価:
この小説は第10回電撃ゲーム大賞金賞を受賞した、水気を祀る三槌家の末裔・高上兄弟(昇と透)と二人を守護する大霊狐・空幻の騒がしくも楽しい日々を綴った物語です。

物語は四章構成になっていて、一章では高上兄弟と空幻が一緒に暮らすことになる顛末、二章では日常に溶け込む空幻と適応できないコウの姿、三章はこの物語の鍵を握る恵比寿神との出会いと軋轢、四章では高上兄弟の母・美夜子との別れをそれぞれ描いています。

一応妖怪物ということですが決しておどろおどろしい物語ではなく、また表紙から想像できるような萌え系の物語でもなく、どちらかといえばコメディ寄りの作品といった印象で、妖怪なのに早々に日常生活に適応する空幻と人間なのにまったく常識のないコウの対比、昇とイイ仲になろうと画策するもののまったく報われない佐倉、自分の利益を第一に考えて神様らしくない行動をとる恵比寿神など読んでいくうちに思わず頬が緩むようなほのぼのとした雰囲気の作品になっています。

しかしながらこのような軽いノリに終始するのではなく、時折ホロっと来るような心温まるエピソードを挿入するのがこの作品の良いところ。こういう作品は下手をすればどっち付かずの作品と採られかねないのですが、シリアスな話を乱用せず効果的に挿話させる構成力の巧さゆえ、バランス感覚のある作品に仕上がっています。
とは言っても突き抜けた面白さや感動を伝えてくれるような作品ではないのでこの巻だけで評価するとせいぜい良作止まりといったところでしょう。
ただし、まだまだ活かされてない隠れた設定や後付の設定が作りやすいシリーズ向きの作品であることは間違いないので今後に期待したいと思います。


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